横浜みなとみらいといえば、横浜デートの定番スポットですが、このおしゃれな街に一風変わったミュージアムがあります。「カップヌードルミュージアム」は、言わずも知れた世界的大ヒット商品。この大ヒット商品を作れるミュージアムを紹介します。
カップヌードルミュージアムとは
今や世界的な大ヒット商品ともいえるインスタントラーメンの代表的な商品「カップヌードル」。この世界的な大ヒット商品が手作りで、しかも自分だけのオリジナルのカップヌードルが作れる場所が、異国情緒あふれる横浜のみなとみらいにあります。
みなとみらいといえば、横浜デートの定番スポットですが、カップルだけじゃなくファミリーでも友人でも楽しめる「カップヌードル」専門のミュージアム。手作りのカップヌードルだけじゃなくカップヌードルの歴史や食事もできるまさにまるごとカップヌードルの場所です。
チケット売り場にも創造的思考がちりばめられている
ミュージアムに入ると正面に見えるチケットカウンター。ここでチケット購入しますが、ここにも創造的思考が体験できます。気づかなくて見過ごす人も多いのですが、チケットカウンター向かって右手の白い壁に注目です。
ここに約3万食分が入るといわれている巨大なカップヌードルが展示されています。白い壁の背景に溶け込んでいるため気づかず通り過ぎてしまう人が多い「ねぶたカップヌードル」は、芸術大学の学生が、色を使わず、形と鷲の濃淡のみで作った作品です。
歴代の懐かしいカップヌードルやチキンラーメンが3,000点以上!!
入館してまず目に入ってくるのが、1958年に開発されたチキンラーメンをはじめ、国内外の3,000点以上のインスタントラーメンが展示された「ヒストリーキューブ」。
ここでは、カップヌードルやチキンラーメン、焼きそばなどさまざまな種類のインスタントラーメンを見ることができます。海外のインスタントラーメンも見ることができるので眺めていても飽きません。知ってるインスタントラーメンを見つけると当時の記憶もよみがえり、懐かしさもひとしおです。
さらに、チェックしてほしいのは、幻のカップラーメン。発売までには至らなかったそうですが、「簡易自動湯沸かし器」がついた画期的な商品だったようです。安全面と何よりコストが高すぎたことで世に出ることはなかったそうです。
インスタントラーメンにもお国柄が
海外のカップヌードルやインスタントラーメンも展示されているのですが、形状や味付けにもお国柄が出ています。なかでも日本サイズよりもかなり小さめのフィリピンのカップヌードル。
日本サイズでは売れないのかと思いきや、実は、フィリピンの食事の回数に理由があります。フィリピンは1日約6回の食事をとることから日本サイズの大きさでは、1日6食食べられなくなってしまうという事情があるようです。
ほかにもドイツでは、「Soba」という名のカップラーメンが販売されていますが、これ、中身は焼きそば。そばには違いないのですが、ドイツの方が日本そばと混同していないことを祈ります。
意外と身近なのものから生まれた商品
「チキンラーメン」誕生のきっかけご存知でしょうか。実は、家で奥様が作った天ぷらがヒントになっといわれています。魚や野菜などさまざまな具材を油で揚げているのにさらっとしていることが、のちの「瞬間油熱乾燥法」の原点なんですね。大発明は意外なところから生まれるものです。
さらにもうひとつの大ヒット商品「カップヌードル」の誕生のきっかけとは。実は、チキンラーメンの海外進出を計画した際に訪れた、アメリカ・ロサンゼルスのスーパーマーケットのバイヤーのとったある行動だったといわれています。
それは、紙コップにチキンラーメンを砕いて入れ、お湯をかけてフォークで食べたこと。丼で箸を使って食べる習慣のないこの欧米人のとった苦肉の柵の行動がのちの大ヒット商品の原点ということです。
インスタントラーメンを発明した人は?
日清食品の創業者で、チキンラーメン、カップヌードル、宇宙食ラーメンを発明・開発した安藤百福(あんどうももふく)さんです。
安藤さんは、1958年に世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発明、現在のインスタントラーメンの礎ともいえるインスタントラーメン産業を作り出した偉大な方です。
続いて1971年、これまた世界初のカップ麺「カップヌードル」を発明し、いまや世界的な大ヒット商品。2016年は45周年の記念の年ですが、なんと世界累計で400億食を達成したとのことです。
世界人口が約72億人(2015年時点:世界の人口より)といわれているので、最低でも1人5-6個は食べているということ。
そして、現在は、地球を飛び出し宇宙へ。安藤さんの長年の夢でもあった宇宙食の開発。その基礎となっているのは、チキンラーメンの発明の際に自らが開発した「瞬間油熱乾燥法」。無重力空間でも地球同様の味を食べられるようさまざまな工夫がなされた「スペース・ラム」は、宇宙でも必須の食べ物という証なのかもしれません。
安藤百福(1910年~2007年)
台湾出身の実業家で発明家。若くして事業を立ち上げるなど実業家としての商才を備えていたものの、世は終戦直後、時代の波に翻弄され、たびたび窮地に追い込まれています。
なかでも、安藤さん最大のピンチとなった信用組合理事長時代の信用組合の倒産。このときの負債の弁済のため、保有していた個人財産はすべて失い、文字通り無一文となってしまいます。
ただ、これでもあきらめることなく一縷の望みをかけて没頭したインスタントラーメンの研究。この研究によりのちに大ヒット商品「チキンラーメン」が発明され再起を果たしています。
再起を果たした後も安藤さんの研究熱は冷めることなく、「カップヌードル」の発明も遂げます。
googleが安藤さん生誕105年を記念してgoogleの検索トップページに安藤さんをモチーフにした記念ロゴを公開するなど世界中の人々に愛され続けた21世紀の発明家です。
予約、整理券が必要なアトラクションについて
ミュージアム内には、10個のアトラクションや展示がありますが、なかでも、人気なのが、自分だけのカップヌードルを作れる「マイカップヌードルファクトリー」、チキンラーメンを手作りできる工房「チキンラーメンファクトリー」。ここでは、各アトラクションの概要と予約や整理券の入手方法を紹介します。
「チキンラーメンファクトリー」世界初のインスタントラーメンを手作りできる
すでにご紹介した世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」。このチキンラーメンを小麦粉から手作りできる体験コーナーです。
キッチンは、可愛らしいチキンラーメン仕様、バンダナとエプロンもチキンラーメンデザインと自慢したくなるかわいいアイテムばかり。
事前予約が必須の体験コーナーですが、こどもはもちろん、大人もワイワイ楽しみながら体験できる約90分のアトラクションです。
なぜなら、こどもだましのおままごと的な体験アトラクションではなく、準備された小麦粉を力を入れてこね、綿棒を使って均一に伸ばすなど、各テーブルについたスタッフの指導のもと本格的なチキンラーメン製造を体験できるから。
さらに、チキンラーメンの肝ともいえる「瞬間油熱乾燥法」で乾燥するまでの工程も体験できます。自分で一生懸命こねて作った麺が乾燥して出てくるときの何とも言えない達成感とか感動をぜひ味わってみてください。
予約方法
体験を希望する日の3ヶ月前の同日午前10時から、「インターネット」か「電話」で事前に予約可能
※3ヶ月前の同日が当ミュージアムの休館日にあたる場合、翌開館日の午前10:00から予約可能
※3ヶ月前の同日がない月は、翌月最初の開館日の午前10:00から予約可能
※事前予約は、体験を希望される日の前日18:00まで受け付け可能
・個人(20人以下)の事前予約は、ウェブサイト、携帯サイト、電話で受け付け可能
・2人1組のペアで体験のため、できるだけ偶数人数でお申込みが理想
※1人でのお申込み不可
電話での申し込み
予約専用ダイアル(10:00~18:00、休館日を除く) 045-345-0825
インターネットでの申し込み(24時間受付)
「マイカップヌードルファクトリー」世界で一つだけのカップヌードル
チキンラーメンと並んで世界的大ヒット商品のオリジナルカップヌードル製作体験アトラクション「マイカップヌードルファクトリー」。
見慣れたカップを購入し、スタッフの説明と手の消毒をしたら、カップのデザインタイムです。蓋と底意外ならどこに何を書いてもいいとのこと。用意されたペンで思い思いのデザイン描けます。製造年月日を忘れずに。
デザインしたカップに麺を入れてもらったら、自分だけのカップヌードルを作る工程へ進みます。スープを4種類から1種類、具を12種類から4種類選んでいきます。
期間限定の具も出ていることがあるので、正直、迷います。それもそのはず、組み合わせ総数は5,460通りにもなるとか。好きな具をチョイスしてもいいし、テーマに沿ってチョイスもできるのもうれしいポイントです。
ここまで選ぶとあとは、蓋をして包装するのみ。お店でおなじみのビニール包装されたオリジナルカップヌードルの完成です。持ち帰り用のエアパッケージに入れれば、オリジナルカップヌードルを自慢しながら街を闊歩できます。
予約方法
整理券又は利用券が必要
当日受付
入館後に先着順で整理券を配布し、整理券がなくなり次第、当日の受付は終了
※整理券の配布状況は、「混雑状況」で確認できます。
事前予約
ローソンチケットで翌々月分までの「マイカップヌードルファクトリー利用券つき入館券」を販売
希望日の前日24時まで購入可能で、予定枚数に達し次第、販売を終了
カップヌードルミュージアム|チケット情報・販売・予約は ローチケHMV[ローソンチケット]
その他の展示・アトラクションについて
カップヌードルミュージアムに訪れたのならぜひ訪れてほしいのが、上記以外の8つのアトラクションや展示。カップヌードルやチキンラーメンの生みの親安藤百福さんの障害やクリエイティブシンキングなど刺激を受けるアトラクションや展示がいっぱいです。
「カップヌードルパーク」麺となって製麺工場を探検できる
こどもたちに大人気のアスレチック施設「カップヌードルパーク」。自分が麺となってカップヌードルの製造工場で製麺から出荷までを巡っていきます。
パーク内には、頭も使うコーナーもあり、こどもの五感を刺激しまくってくれます。日ごろ運動不足の大人にもおすすめといいたいところですが、残念ながら小学生以下が対象のアトラクション。そんなこどもの楽しむ姿を見て英気を養ってください。
「NOODLES BAZAAR ワールド麺ロード」横浜で味わえる世界の麺の味
安藤百福さんが麺のルーツを探る旅に出た時の8か国の麺料理を味わえるフードアトラクション「NOODLES BAZAAR ワールド麺ロード」。
たくさんのメニューが楽しめるようにすべてのメニューがハーフサイズなのがうれしい。チキンラーメンの屋台もあってミニチキンラーメンがトッピング2種類付きで食べられます。
アトラクション内は、アジアのナイトマーケットのようなデザイン。現地の雰囲気を忠実に再現するため、椅子やテーブルなど小物は、現地から調達するほどのこだわりです。雰囲気だけではなく、本場の味付けを忠実に再現した料理も食べられるのでおすすめです。
メニューは、下記のとおりです。
辛味めん/蘭州牛肉面(中国)
スパイシー焼きそば/ミーゴレン(インドネシア)
さっぱり味の米めん/フォー(ベトナム)
世界三大スープ/トムヤムクンヌードル(タイ)
本場の味/冷麺(韓国)
シンプルなトマト味/パスタ(イタリア)
甘味とカレー味/ラクサ(マレーシア)
アジア麺文化最西端/ラグマン(カザフスタン)
ちなみに、麺ではないのですが、特におすすめのメニューが「カップヌードルソフトクリーム」。来館者400万人を祈念して誕生したスイーツで、何とも奇妙な感覚を味わってみてください。
「ミュージアムショップ」来館記念や旅の思い出に
思いっきりカップヌードルを堪能した後、そのまま帰るのもなんだか物足りない感じ。そんなときに入口正面にある「ミュージアムショップ」はおすすめ。
なかでも、いちおしは、「カップヌードルキャンドル」(820円)。本物そっくりに作られたキャンドルは、間違えてお湯を注いでしまいそうなほど精巧につくられています。
カップは耐熱容器なので安全面も十分。お土産にいかがでしょうか。ほかにも、カップヌードルミュージアム限定品がたくさん販売されているので、購入して友達や同僚に自慢してみてはいかがでしょうか。
<数量限定品>
世界的デザイナー佐藤ナオキ氏デザインの「cupnoodle forms」と「cupnoodle matryoshka」が数量限定で販売。ショップはもちろんネットでも購入できます。
「百福の研究小屋」想像的思考の原点ともいえる研究小屋
チキンラーメンが生まれた研究小屋が細部まで忠実に再現された「百福の研究小屋」。無一文になったころ、あきらめずに再起を目指した場所には、製麺機や中華なべなど、研究に必要なものが並んでいます。
とはいうものの、特別なものはなく、当時の一般家庭にあったであろう道具ばかり。安藤さんの創造的思考の原点なのかもしれません。
「百福シアター」6つのキーワードから原点を探れる
生涯現役だった安藤さんの波乱の人生をCGアニメで紹介している「百福シアター」。上映時間14分ですが、生涯貫き通した創造的思考の原点となる6つのキーワードをわかりやすく紹介しています。
「クリエイティブシンキングボックス」6つの視点から学べるボックス
クリエイティブシンキング=創造的思考の6つのキーワードをそれぞれボックスにたとえて解説している「クリエイティブシンキングボックス」。
発明の根源ともいえる「あったらいいな」を探すヒントが込められた第1のボックス。
アイデアは目の前に転がっていることを教えてくれる第2のボックス。
思いついたアイデアを共有してみんなで育てていくことを教えてくれる第3のボックス。
さまざまな角度から見ることが大事だと教えてくれる第4のボックス。
遠近法を利用することで当たり前になっていることを改めて意識することの大切さを教えてくれる第5のボックス。そして、失敗してもくじけない強い思いを持つことを教えてくれる第5のボックス。
「安藤百福ヒストリー」6つのキーワードや波乱万丈の人生が描かれている
全長58mに描かれた安藤さんの生涯をイラスト付きで紹介する「安藤百福ヒストリー」。安藤さんとは切り離せない6つのキーワードとともに人生を食にささげた男の足跡をたどることができます。
この年表は、下部にはこどもでも理解できるイラスト付きの説明がなされているところがすばらしく、親子でも、こどもだけでも楽しめるアトラクションです。
単なる歴史紹介年表ではなく、見たのもの立場で考えられるようなつくりになっているので、仕事などで悩んでいる方にもおすすめ。何かのヒントを得られるかもしれません。
混雑状況
体験型のアトラクションが多いのこともあり、ファミリーでの参加が多く、必然的に週末や学校が休みの期間中は、混雑します。事前に予約できるものもあるので利用するなどしてできるだけ混雑回避をするようにしましょう。
また、カップヌードルミュージアムでは、ネットで混雑状況を確認できるようになっています。アトラクションの中には、事前予約や先着順の整理券入手など時間を気にするもののあるので利用すると便利です。
アクセス方法
車:首都高速神奈川1号横羽線「みなとみらいIC」より5分
電車:みなとみらい線「みなとみらい駅」より徒歩8分、みなとみらい線「馬車道駅」より徒歩8分、JR・市営地下鉄「桜木町駅」より徒歩12分
駐車場
駐車台数:40台
料金:入館券提示で最初の1時間は無料、それ以降は30分毎に250円
営業時間:9:00~19:00 ※19:00以降は出庫不可
世界的な大ヒット商品の生い立ちが見れるミュージアム
今回は、世界的大ヒット商品「カップヌードル」や「チキンラーメン」に関することを学べたり手作りできたりできるカップヌードルミュージアムを紹介しました。
また、生みの親でもある安藤百福さんの生い立ちや大ヒット商品が生まれるまでの過程をさまざまなアトラクションで体感できるアトラクションもあります。
20世紀の発明ともいわれた安藤百福さんは、特別な人だったのか。このミュージアムを訪れて知る限りでは、特別な人ではないように感じます。
ただ、物事を見たり捉える視点はかなり違っているように思います。また、あきらめない心、くじけない心も現代社会でも大事な要素。モノや情報があふれている現代でも、安藤さんの6つの視点が重要なことに変わりはありません。
こどもには、想像することや考えることの意味を知る大切な時間になることでしょう。大人には、日ごろの悩みの解決のヒントになるでしょう。麺づくりや功績の偉大さだけではなく、人生について大事なことを教えてくれるミュージアム。
お子さんと一緒に目の前のことを語り合うもよし、大切な人とお互いを切磋琢磨する時間にするもよし、ひとりで、じっくり考える時間にするもよし。訪れた人のそれぞれの立場で「考える」時間になるミュージアムです。
週末や時間があるとき、楽しく遊べて、考える時間が持てるカップヌードルミュージアムに行ってみてはいかがでしょうか。