若者の車離れが進む中、車の免許取得件数も減少しているといいますが、統計では、7割弱の方が取得しているといいます。今回は、車離れが進む中でも免許取得を目指す方向けに普通免許の取得方法や免許の種類についてお話します。
普通免許の種類
普通自動車第一種免許(普通一種免許)には、運転者自身がギアを変えて走行する「MT車(限定なし)とエンジンの回転数に応じて自動的にギアが変わる「AT車限定(オートマティック車限定)」の2種類があり、教習所を選ぶ前にどちらにするか決める必要があります。AT車は、通称「AT限定免許」ともいわれ、運転操作がシンプルなので女性や高齢者に特に人気で、AT車限定で運転できます。一方、MT車は、走行時にドライバーの意思がギアチェンジをAT車も運転でき、運転操作を楽しみたいという方が取得しています。
さらに、2007年6月に道路交通法(道交法)が改正され、中型自動車という新しい区分が新設されました。それに伴い普通自動車の区分も下記の通り変更となりました。
- 車両総重量5t未満(8t未満から変更)
- 最大積載量3t未満(5t未満から変更)
- 乗車定員10人以下(変更なし)
道交法では、免許証の種類と運転できる車両を細かく定めていて、免許の種類で定められた車両以外の車両を運転することはできず、運転した場合は、無免許運転となり罰せられます。
【免許の種類と運転できる車両】
<普通自動車>
小型特殊自動車・大型特殊自動車・普通自動二輪車・大型自動二輪車・中型自動車・大型自動車以外の自動車で下記の条件の全てに該当する自動車
車両総重量/5,000kg未満のもの 最大積載量/3,000kg未満のもの 乗車定員/10人以下のもの
<中型自動車>
小型特殊自動車・大型特殊自動車・普通自動二輪車・大型自動二輪車・普通自動車・大型自動車以外の自動車で下記の条件のいずれかに該当し、いずれか全てを超えていない自動車
車両総重量/5,000kg以上11,000kg未満のもの 最大積載量/3,000kg以上6,500kg未満のもの 乗車定員/11人以上29人以下のもの
<大型自動車>
小型特殊自動車・大型特殊自動車・普通自動二輪車・大型自動二輪車・普通自動車・中型自動車以外の自動車で下記の条件のいずれかに該当する自動車
車両総重量/11,000kg以上のもの 最大積載量/6,500kg以上のもの 乗車定員/30人以上のもの
<普通自動二輪車>
エンジンの総排気量が50ccを超え400cc以下の二輪の自動車(側車付きのものを含む)
このうち125cc超400cc以下の自動二輪車のことを通称、中型と呼ぶ
エンジンの総排気量が50ccを超え125cc以下の自動二輪車のことを小型自動二輪車あるいは原付二種と呼ぶ
<大型自動二輪車>
エンジンの総排気量が400cc以上の二輪の自動車(側車付きのものを含む)
<大型特殊自動車>
カタピラを有する自動車やショベル・ローダなど特殊な構造の自動車及び農耕作業用自動車で、小型特殊自動車以外のもの
<原動機付自転車>
エンジンの総排気量が50cc以下の二輪車及び三輪者のこと
<小型特殊自動車>
ショベル・ローダやロードローラなど特殊な構造の自動車及び農耕作業用自動車で、下記の条件を満たすもの
全長/4.7m以下 全幅/1.7m以下 全高/ヘッドガード高さ2.8m以下でヘッドガードを除いた部分は2.0m以下 最高速度/15km/h以下(農耕作業用は35km/h未満) 総排気量/制限なし
<新小型特殊自動車(公道を走る場合は大型特殊免許あるいは大型特殊二種免許が必要)
ショベル・ローダやロードローラなど特殊な構造の自動車及び農耕作業用自動車で、下記の条件を満たすもの
全長/4.7m以下(農耕作業用は制限なし) 全幅/1.7m以下 全高/2.8m以下(農耕作業用は制限なし) 最高速度/15km/h以下(農耕作業用は35km/h未満) 総排気量/制限なし
普通自動車免許(MT車・AT車限定)を取得する方法
普通一種免許を取得する方法は大きく分けると下記の2つの方法となります。
- 「指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格したのち運転試験場でおこなわれる学科試験に合格する」
- 「運転免許試験場で技能試験を直接受験してごうかくしたのち運転試験場でおこなわれる学科試験に合格する(一発試験)」
前者で取得する方法が一般的ですが、運転免許の取り消しを受けたものが、再度、免許を取得する場合や運転に自信がある場合は後者で取得することが多いようです。
※運転免許の取消しを受けた方は「取消処分者講習」を受け、欠格期間が終了しなければ、「技能試験・学科試験」を受けることが出来ません(仮免許は取得可能)。
普通自動車免許(MT車・AT車限定)を取得するまでの流れ
指定自動車教習所に通う場合、以下のような流れで普通自動車免許を取得します。
1.指定自動車教習所に入学
2.適性検査(視力・聴力検査など)
3.技能講習(敷地内講習)・学科講習
4.技能終了検定(敷地内での運転試験)
5.仮免許学科試験
6.仮免許証交付
7.技能講習(路上講習)・学科講習
8.技能卒業試験(路上での運転試験)
9.運転免許試験場での適性検査(視力検査など)
10.学科試験
11.普通自動車免許証交付
※普通二輪免許・大型特殊免許取得者は、運転免許試験場での学科試験が免除されます。
※過去に免許取消し処分を受けたことがある方は、受験前1年以内に「取消処分者講習」を受けていなければ運転免許試験場での学科試験は受けられません。
普通自動車免許(MT車・AT車限定)を取得できる条件
普通自動車免許を取得するには下記の条件を満たさなければなりません。
<年齢>
普通自動車免許は、満18歳以上のものでなければ取得することができませんが、17歳で指定自動車教習所に通い、18歳になった時点で仮免許を取得することも可能です。
※この場合でも指定自動車教習所では9ヶ月以内にすべての教習を終了しなければならないので、検討して入学しましょう。
<視力>
両眼で0.7以上、片眼で0.3以上、視野150°以上であること(眼鏡・コンタクトレンズ使用可)
<色彩識別>
赤・青・黄色の3色が識別ができること
<聴力>
日常の会話を聴取できること(補聴器使用可)
具体的には、10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
※2008年(平成20年)6月1日に施行された道交法によって、聴覚に障害がある方でも条件付きで普通免許の取得が可能となっています。条件とは、「運転できる車は車室内にワイドミラーを装着した普通乗用自動車に限る(普通貨物自動車、原付は運転不可)
<学力>
普通の読み書きができ、その内容を理解できること
<運動能力>
普通自動車等の安全な運転に必要な認知、又はハンドルその他の装置を随意に操作できるなど、自動車の運転に支障を及ぼす身体障害がないこと
下記の条件に該当するものは普通免許を取得することはできません。
- 法定で定められた病気(精神病等)や、中毒(アルコール・麻薬・覚せい剤等)にかかっているもの
- 交通違反や事故などの行政処分を受け、欠格期間が終了していないもの(欠格期間が終了していれば取得可能)
※てんかんの方は医師の診断書等(薬を飲まなくなって○年など、運転免許証の種別によって条件は異なる)があり、適性検査で問題なければ運転免許証を取得できます。
普通自動車免許証交付手数料
- 申請手数料:2,200円
- 交付手数料:2,050円+200円(併記手数料)
普通自動車免許(MT車・AT車限定)で運転できる車
- 普通自動車
- 小型特殊自動車
- 原動機付自転車
限定免許一覧
自動車運転免許において、運転に関する限定条件が付された免許のことをいいます。
(AT限定免許)普通自動車(第一種・第二種)・大型自動二輪車(排気量650cc以下)・普通自動二輪車のうち、AT車(オートマチック、ノークラッチ式)に限り運転可能
(中型車(8t)限定免許)2007年6月2日の法改正に伴い、従来の普通自動車が中型自動車に移行したが、車両総重量8t未満、最大積載量5t未満、乗車定員10人以下に限り運転可能
(カタピラ車限定免許)大型特殊自動車のうち、カタピラ車(戦車や車両系建設機械等のブルドーザ等)に限り運転可能
(農耕車限定免許)大型特殊自動車のうち、農耕作業用自動車(トラクター等)に限り運転可能
(小型二輪限定免許)普通自動二輪車のうち、排気量125cc以下の二輪車に限り運転可能
(小型トレーラ限定免許)重被牽引車のうち、車両総重量が2t以下のトレーラ車に限り牽引可能
中型自動車
(受験資格)20歳以上で、普通免許又は大型特殊免許を現に受けており、かつ、いずれかの免許を受けていた期間(以下「免許期間」という。)が通算して2年以上のもの
大型自動車
(受験資格)21歳以上で、中型免許、普通免許又は大型特殊免許を現に受けており、かつ、いずれかの免許期間が通算して3年以上のもの
普通自動車第二種免許
普通自動車第二種免許(普通二種免許)は、旅客などを乗せて報酬を得て運転する場合に必要な運転免許証で、道交法では普通自動車第一種免許と同区分となります。
また普通一種免許と同様、「MT車(マニュアル、限定なし)・AT車(オートマ限定)」の2種類があり、大型二種免許取得者は普通二種免許で運転できる車を運転できますので、新たに取得する必要はありません。
具体的には下記のような車を運転する場合に普通二種免許が必要となります。
- タクシー
- ハイヤー
- 運転代行業者
などです。蛇足ですが、上記の車のナンバーは、緑色のナンバーとなっています。緑ナンバーとなる車は、宅配便のトラックや定期便・引っ越し専用の運送・軽貨物、路線バス(乗合バス)や観光バス(貸切バス)、タクシーなどで、道交法では、有償で旅客、貨物の輸送を行うための車両と定義されています。これ以外の車は自家用車両となりますので、法人の営業者などは緑ナンバーの対象とはなりません。
普通二種免許を取得する方法
- 「認定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格する」
- 「運転免許試験場で技能試験を直接受験する(一発試験)」
普通二種免許を取得する方法は、上記の2通りがあり、他の二種免許を取得している方は学科試験が免除されますので、卒業検定(技能試験)に合格すれば、運転免許試験場で適性検査(視力検査など)を受けるだけで免許証が交付されます。
普通二種免許を取得するまでの流れ
認定自動車教習所に通って普通二種免許を取得する場合、下記のような流れとなります。
1.認定自動車教習所に入学(入校)
2.適性検査・運転適正検査(視力・聴力検査など)
3.技能講習・学科講習
4.技能卒業検定
5.運転免許試験場での適性検査(視力検査など)
6.普通二種免許証交付
普通二種免許を取得できる条件
普通二種免許を取得するには以下の条件を満たさなければなりません。
<所持免許条件>
普通自動車、中型自動車、大型自動車、大型特殊自動車、いずれかの第一種免許取得者で、運転経歴が3年以上(停止期間中を除く)経過していること(自衛官は2年以上)
<年齢>
満21歳以上
<視力>
両眼で0.8以上、片眼で0.5以上、深視力検査での誤差が2cm以下であること(眼鏡・コンタクトレンズで矯正可)
<色彩識別>
赤・青・黄色の3色が識別ができること
<聴力>
10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器可)
また以下の条件に該当する方は普通二種免許を取得することはできません。
- 法定で定められた病気(精神病等)や、中毒(アルコール・麻薬・覚せい剤等)にかかっている方
- 交通違反や事故などの行政処分を受け、欠格期間が終了していない方(欠格期間が終了していれば取得可能)
※てんかんの方は医師の診断書等(薬を飲まなくなって○年など、運転免許証の種別によって条件は異なる)があり、適性検査で問題なければ運転免許証を取得できます。
【普通二種免許で運転できる車】
- 原動機付自転車
- 小型特殊自動車
- 普通自動車
- 「指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格したのち学科試験に合格する」
- 「運転免許試験場で技能試験を直接受験して合格したのち学科試験に合格する(一発試験)」
- 法定で定められた病気(精神病等)や、中毒(アルコール・麻薬・覚せい剤等)にかかっている方
- 交通違反や事故などの行政処分を受け、欠格期間が終了していない方(欠格期間が終了していれば取得可能)
【第二種運転免許の種類】
大型自動車第二種免許(大型第二種免許):路線バス、観光バスなど旅客運送用大型自動車を旅客運送の為に運転する場合に必要
中型自動車第二種免許(中型第二種免許):路線バス、観光バスなど旅客運送用中型自動車を旅客運送の為に運転する場合に必要
普通自動車第二種免許(普通第二種免許):タクシー・ハイヤーなどの旅客自動車や代行運転自動車を運転する場合に必要
大型特殊自動車第二種免許(大型特殊第二種免許):カタピラバスなどの旅客運送用の大型特殊自動車を運転する場合に必要
牽引第二種免許(牽引第二種免許):大型、普通、大型特殊自動車の牽引自動車で、旅客用車両を旅客を運送する目的で牽引して運転する場合に必要(トレーラーバスがこれに該当)
普通自動二輪車免許(普通二輪免許)は、「総排気量が50㏄超400㏄以下の二輪車」を運転するために必要な運転免許証で、「普通二輪小型限定・普通二輪・AT小型限定普通二輪・AT限定普通二輪」の4種類に分類されます。
【普通二輪免許を取得する方法】
普通二輪免許を取得する方法は上記の2通りあり、卒業検定(技能試験)合格後、学科試験に合格し、適性検査(視力検査など)で問題なければ免許証が交付されます。
【普通二輪免許を取得するまでの流れ】
普通二輪免許は4種類に分類され、取得する免許の種類や、保有している免許等によって学科講習時間、技能講習時間は異なりますが、指定自動車教習所に通って普通二輪免許を取得する場合、基本的には下記のような流れとなります。
1.指定自動車教習所に入学(入校)
2.適性検査・運転適正検査(視力・聴力検査など)
3.技能講習・学科講習
4.技能卒業検定
5.運転免許試験場での学科試験・適性検査(視力検査など)
6.普通二輪免許証交付
※普通自動車免許保有者は、1時間の学科講習、また、技能講習も2~6時間短縮
※普通自動車免許、大型特殊免許保有者は学科試験が免除
※普通二輪小型限定免許保有者が普通自動二輪を取得する場合、学科講習が免除、技能講習は5時間
【普通二輪免許を取得できる条件】
普通二輪免許を取得するには下記の条件を満たさなければなりません。
<年齢>
普通二輪免許は満16歳以上の方でなければ取得することができませんが、15歳で指定自動車教習所に通い、16歳で卒業検定に合格すれば取得できます。
<視力>
両眼で0.7以上、片眼で0.3以上であること(眼鏡・コンタクトレンズで矯正可)
<色彩識別>
赤・青・黄色の3色が識別ができること
<聴力>
10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可)
<運動能力>
普通二輪自動車の運転に支障を及ぼす身体障害がないこと
また、下記の条件に該当する方は原付免許を取得することはできません。
※てんかんの方は医師の診断書等(薬を飲まなくなって○年など、運転免許証の種別によって条件は異なる)があり、適性検査で問題なければ運転免許証を取得できます。
【普通二輪免許で運転できる車】
4種類ある普通二輪免許では、「原動機付自転車・小型特殊自動車」プラス下記の二輪車を運転することが出来ます。
<普通二輪小型限定免許>
小型自動二輪車(50cc超~125㏄以下)
<普通二輪免許>
AT、MT自動二輪車(400㏄以下)
<AT小型限定普通二輪免許>
AT小型自動二輪車(50cc超~125㏄以下)
<AT限定普通二輪免許>
AT自動二輪車(400㏄以下)
トラックが生んだ悲劇
トラックと聞くと大型免許が必要と考えがちですが、実は、2007年6月の道交法改正までは、普通免許で総重量8tまでのトラックの運転ができていました。道交法改正後は、中型免許が新設されたことで、普通免許で運転できるトラックは、総重量5t未満、かつ最大積載量3t未満までに制限されました。つまり最大積載量2tのトラックは普通免許で運転できますが、最大積載量4tのトラックは中型免許が必要になるということです。ただし、特例として、2007年6月の改正前までに普通免許を取得していた方は、車両総重量8t未満、最大積載量5t未満までのトラックが運転できます。
※免許証の条件欄に「中型車は中型車(8t)に限る」という記載がされ、免許の種類には「中型」と記載されます。
<2007年6月改正後>
(普通免許)車両総重量/5t未満 最大積載量/3t未満
(中型免許)車両総重量/5t以上11t未満 最大積載量/3t以上6.5t未満
(大型免許)車両総重量/11t以上 最大積載量/6.5t以上
<2007年6月改正前に普通免許取得していた場合>
(中型免許)車両総重量/8t未満 最大積載量/5t未満
【免許の種類と運転できる自動車など】
(大型免許)大型自動車、中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車
(中型免許)中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車
(普通免許)普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車
(大型特殊免許)大型特殊自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車
(大型二輪免許)大型自動二輪車(特定大型自動二輪車含む)、普通自動二輪車(特定普通自動二輪車含む)、小型特殊自動車、原動機付自転車
(普通二輪免許)普通自動二輪車(特定普通自動二輪車含む)、小型特殊自動車、原動機付自転車
※総排気量400ccを超える二輪車は運転できません。また小型限定の条件がある場合、総排気量125ccを超える二輪車は運転できません。
(小型特殊免許)小型特殊自動車
(原付免許)原動機付自転車
(けん引免許)けん引装置を有する大型自動車、中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車によって、けん引されるための装置を有する他の車をけん引するときは、けん引自動車(普通自動車であれば普通免許)に係る免許のほか、けん引免許が必要
しかし、車の総重量(最大積載量及び乗車定員(1人=55kg)を乗せた状態での車全体の重さ)が750キログラム以下の車をけん引するときや故障車をロープ、クレーンなどでけん引するときは、けん引免許は必要なし
(第二種免許)乗合バス・タクシーなど旅客運送事業に使われる自動車をその目的のために運転するときは、第二種免許が必要
(仮免許)免許のない方が、練習などのために大型自動車、中型自動車又は普通自動車を運転するときは、仮免許が必要
乗員人数にも制限がある
運転免許証には、種類に応じて、車両にも大きさによって、それぞれ乗車定員が決められています。たとえば、普通免許では、乗車定員10人以下、中型免許では、11人以上29人以下と規定されています。さらに、車両ごとに乗車定員が決まっているのでこの範囲内で乗車することになります。乗車定員の数え方も決められていて、単純に乗る人数をカウントするわけではありません。数え方を規定している道路運送車両の保安基準では、12歳以上は1名としてカウントし、12歳未満は1.5人に相当する、つまり2/3人とすると規定しています。(下記の<道路運送車両の保安基準>参照)
では、乗車定員の具体的な計算方法を見ていきます。前提条件は、大人3名、小学生3名とします。この場合の乗車定員は大人3名+大人2名(小学生3名)の計5名となります。解説すると大人3名は、「大人1名=大人1名」なので3名、小学生は、「小学生3名×2/3名」で大人2名分となり、あわせて5名となります。ちなみに、ここで問題がでてくるのですが、乗車定員5名の車両の場合に、前述の人数が乗ると法律上は問題ないのですが、物理的にはシートベルトが一つ足りなくなります。こういう場合の特例も規定されていて、以下の条件を満たす場合は、最大限シートベルト及びの幼児用補助装置装着努力をすればいいことになっています。(下記の<シートベルトおよびチャイルドシートについて>を参照)しかし、法律上問題ないとはいえ、安全上の問題は大きく、シートベルトをしないものが乗車しているのは安全面で不安なので車両2台で行くなどの対応をしたほうがいいと思います。
<道路運送車両の保安基準>
第五十三条 自動車の乗車定員又は最大積載量は、本章の規定に適合して安全な運行を確保し、及び公害を防止できるものとして、告示で定める基準に基づき算出される範囲内において乗車し又は積載することができる人員又は物品の積載量のうち最大のものとする。ただし、二輪の軽自動車(側車付二輪自動車を除く。)にあつては乗車定員二人以下、車両総重量二トン未満の被牽引自動車にあつては乗車定員なしとする。
2 前項の乗車定員は、十二歳以上の者の数をもつて表すものとする。この場合において、十二歳以上の者一人は、十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする。
<シートベルトおよびチャイルドシートについて>
道路交通法第七十一条の三及び道路交通法施行令 第二十六条の三の二第三項第二号
1.道路運送車両の保安基準第五十三条の適用により子どもを座席数以上に乗せる場合
2.6歳未満の方が多数乗る場合で全員に幼児用補助装置を着用させると全員乗りきらない場合
(道路運送車両の保安基準第五十三条の定員の数え方によって生じた場合も含みます。)
飲酒規制が厳しくなった
1960年6月25日に制定された日本の法律で、道路を使用する人すべて、つまり歩行者も車や自転車に乗るすべての人の安全と円滑な運行を守るための法律、略して「道交法」と呼ばれています。この道交法、世間をにぎわした事故が起こると改正や新たに追加されたりしています。制定されたのはほぼ半世紀前なので、現在の交通事情には合わなかったり、法律がカバーできていなかったりするため致し方ないのかもしれません。
記憶に新しいところでは、自転車の罰則が強化されたことです。ちょっと蛇足ですが、自転車やリアカーも道交法が適用される車両等に含まれるっていうのは、ドライバーは、教習所などで勉強したので知っていると思います。子供から年配者まで乗っている自転車の事故が増えてきたのをきっかけに、罰則強化され、なかでも逆走やスマホを見ながらやイヤホンをしたままの運転禁止など、車と変わらない法律を適用しますと宣言しています。今までは、法律で禁止はされているものの厳密に適用されることは少なったようで、法律改正というより罰則強化という意味合いが強そうです。
さらにさかのぼると飲酒運転に関する罰則も強化されています。以前から飲酒運転に関する罰則はあり、行政処分や刑罰が科せられていましたが、こちらも世間に波紋を投げかけた飲酒運転による事故をきっかけに改正されています。
見方によって法律も変わる
いろんな見方があると思いますが、こうしてみていくと、道交法は、違反したものへの罰則強化をメインに改正しているように感じますが、どちらかというと違反の抑制を念頭に置いているんじゃないかと思っています。人を傷つけたり、物を盗んだりすると罰せられるため、ほとんどの場合は、思いとどまります。この「思いとどまる」ことにも気を配っているように思います。早く着きたいからスピード出したい、だけどここはスピード出して大丈夫なんだっけ?や、赤信号変わるまで待ってようなど、ドライブ中にもたくさん「おもいとどまっている」と思います。
「法律は守るもの、ではなぜ守らなければならないのか」を考えてみると、道交法が制定された当時の定義にある通り、ドライバーだけじゃなく通行人や自転車などすべての道路を使用する人が安全にかつスムーズに通行できるため」に法律を守らなければならないといえます。